「ウィズ・ザ・ビートルズ」 村上春樹
今日は、昨年発売された村上春樹の短編集『一人称単数』に収められている「ウィズ・ザ・ビートルズ」について。
僕は村上春樹の大ファンなのだが、短編についてはそれほどでもない。
とはいえ単行本化されたものに関しては全部読んでいる。
ファンとしての、ある意味義務的な感覚で購入し読んでいる。
既発の6篇と書き下ろし1篇からなる『一人称単数』だが、総じて面白かった。
その中から「ウィズ・ザ・ビートルズ」をチョイスしたのは、特に好きな作品のひとつであることと、このブログが音楽メインの内容だからという理由によるもの。
1964年秋の初め、主人公は廊下でビートルズの2ndアルバムとなる『ウィズ・ザ・ビートルズ』のLPを抱えた髪の長い美しい女子生徒に強く心を惹かれる。


ビートルズ『ウィズ・ザ・ビートルズ』(amazon)
しかし彼は、その後彼女の姿を校内で見つけることは出来なかった。
※そこにしかない に傍点あり

そういうことって、あるよな。
この感じすごく分かる。
翌年主人公は、同じ学校の別の女子生徒と交際を始めた。
ある日曜日、彼は彼女を家へ迎えに行った。
11時に迎えに行くと約束していたからだ。
しかし彼女は不在だった。
すると彼女の兄が少し待ってみれば、というので彼は待つことにする。
そして彼は彼女の兄と二人、会話を交わすなどいささか奇妙な時間を過ごすことになった。
こんなことを言ってしまえば身も蓋もないが、いつもの村上春樹なお話である。
でも僕はこんなのが好きなのだから、まぁ読むのだよね。
村上春樹の作品は、少年の心を抱えたままどこか居心地の悪さを感じながら生きている大人(拗らせ系とも言える)の逃げ場になっているように思う。
これは村上春樹作品との接し方の本質とは、乖離しているかもしれない。
だが、そういう側面は少なからずあると思っている。
あくまでも自分に照らしあわせてだが。
少年の浅はかで身勝手で夢見がちな、美しい言葉で言うなら”イノセント”な塊は現実の社会では落ち着ける場所がない。
とはいえデキる大人なら、その塊を状況を見て出し入れすることが出来る。
だがデキない大人だと、常にその塊を剝き出しのまま抱えて生活しなくてはならない。
これはなかなか辛い。
逃げ場が必要なのだ。
村上春樹ファンの全てがそういう理由から、彼の作品を読んでいるという意味ではなく、あくまでもそういう人もいるという事。
また読む理由が一つとも限らない。
何事でもそうだが、理由というのは一つだけではないだろう大抵の場合。


村上春樹『一人称単数』(amazon)
村上春樹のファンって男性の方が多いのではないかと思っている。
明らかに男目線で書かれているから。
まぁ村上春樹自体が男なのだから、自然とそうなるわな。
にしても、女性の容姿についてやたら語るし、簡単にセックスしちゃうし、あんまり女性受けは良くないはず。
今時どうなんだ、とちょっと心配にもなる、ファンとしては。
イノセントを拗らせた昭和の男性の僕は大好きである『一人称単数』。
ファンの方にはオススメです。
根本的に僕は、村上春樹作品の読み方を間違ってるのかもしれない、という気はずっとしている。。
ちなみに僕が最も好きなビートルズのアルバムは、
『ラバー・ソウル』
『リボルバー』
『アビイ・ロード』
の3枚。
流石に一枚には絞れない。


ビートルズ『ラバー・ソウル』(amazon)
僕は村上春樹の大ファンなのだが、短編についてはそれほどでもない。
とはいえ単行本化されたものに関しては全部読んでいる。
ファンとしての、ある意味義務的な感覚で購入し読んでいる。
既発の6篇と書き下ろし1篇からなる『一人称単数』だが、総じて面白かった。
その中から「ウィズ・ザ・ビートルズ」をチョイスしたのは、特に好きな作品のひとつであることと、このブログが音楽メインの内容だからという理由によるもの。
1964年秋の初め、主人公は廊下でビートルズの2ndアルバムとなる『ウィズ・ザ・ビートルズ』のLPを抱えた髪の長い美しい女子生徒に強く心を惹かれる。
ビートルズ『ウィズ・ザ・ビートルズ』(amazon)
しかし彼は、その後彼女の姿を校内で見つけることは出来なかった。
焼き付けられたのは、ひとつの時代のひとつの場所のひとつの瞬間の、そこにしかない精神の光景だった。
村上春樹「ウィズ・ザ・ビートルズ」より
※そこにしかない に傍点あり

そういうことって、あるよな。
この感じすごく分かる。
翌年主人公は、同じ学校の別の女子生徒と交際を始めた。
ある日曜日、彼は彼女を家へ迎えに行った。
11時に迎えに行くと約束していたからだ。
しかし彼女は不在だった。
すると彼女の兄が少し待ってみれば、というので彼は待つことにする。
そして彼は彼女の兄と二人、会話を交わすなどいささか奇妙な時間を過ごすことになった。
こんなことを言ってしまえば身も蓋もないが、いつもの村上春樹なお話である。
でも僕はこんなのが好きなのだから、まぁ読むのだよね。
村上春樹の作品は、少年の心を抱えたままどこか居心地の悪さを感じながら生きている大人(拗らせ系とも言える)の逃げ場になっているように思う。
これは村上春樹作品との接し方の本質とは、乖離しているかもしれない。
だが、そういう側面は少なからずあると思っている。
あくまでも自分に照らしあわせてだが。
少年の浅はかで身勝手で夢見がちな、美しい言葉で言うなら”イノセント”な塊は現実の社会では落ち着ける場所がない。
とはいえデキる大人なら、その塊を状況を見て出し入れすることが出来る。
だがデキない大人だと、常にその塊を剝き出しのまま抱えて生活しなくてはならない。
これはなかなか辛い。
逃げ場が必要なのだ。
村上春樹ファンの全てがそういう理由から、彼の作品を読んでいるという意味ではなく、あくまでもそういう人もいるという事。
また読む理由が一つとも限らない。
何事でもそうだが、理由というのは一つだけではないだろう大抵の場合。
村上春樹『一人称単数』(amazon)
村上春樹のファンって男性の方が多いのではないかと思っている。
明らかに男目線で書かれているから。
まぁ村上春樹自体が男なのだから、自然とそうなるわな。
にしても、女性の容姿についてやたら語るし、簡単にセックスしちゃうし、あんまり女性受けは良くないはず。
今時どうなんだ、とちょっと心配にもなる、ファンとしては。
イノセントを拗らせた昭和の男性の僕は大好きである『一人称単数』。
ファンの方にはオススメです。
根本的に僕は、村上春樹作品の読み方を間違ってるのかもしれない、という気はずっとしている。。
ちなみに僕が最も好きなビートルズのアルバムは、
『ラバー・ソウル』
『リボルバー』
『アビイ・ロード』
の3枚。
流石に一枚には絞れない。
ビートルズ『ラバー・ソウル』(amazon)
この記事へのコメント
>1964年秋の初め、主人公は廊下でビートルズの2ndアルバムとなる『ウィズ・ザ・ビートルズ』のLPを抱えた髪の長い美しい女子生徒に強く心を惹かれる。
おや、『ウィズ・ザ・ビートルズ』は64年当時は日本未発売でUK盤と同じフォーマットで発売されたのは70年代半ばだったはず?
でも名盤さんの本文の画像を見ると発売されていない事も記述されているようですね。
村上春樹さんの本は読んだことがなく映画「ノルウェイの森」を見ただけですが、「ウィズ・ザ・ビートルズ」 が気になったので図書館で『一人称単数』予約しました。
文中、アメリカ盤でも日本国内盤でもなく、UKオリジナル盤を持っていたとのことです。
輸入盤ですかね。
村上春樹の作品にはよく古い音楽が出てくるので、なかなか音楽ファンとしても楽しめると思いますよ。
すいません、間違えてコメント消してしまいました。
大変申し訳、ございません。
さてオススメ作ですが、短編集でしたら『螢・納屋を焼く・その他の短編』でしょうか。
『ノルウェイの森』のベースとなった「蛍」や映画『バーニング』の原作となる「納屋を焼く」が収録されています。
ただ個人的には、村上春樹は長編の方が好きなので、他の作品と比べればやや短めの『1973年のピンボール』もオススメしたいと思います。
僕が最初に読んだ村上春樹作品がこれでした。
ちなみに一番好きなのは『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』です。
これは、かなりの長編となります。 参考になれば幸いです。