フリートウッド・マック『ファンタスティック・マック』

僕が最も好きな女性ヴォーカリストのひとりは、スティーヴィー・ニックス(もう一人はトレイシー・ソーン)。
いつか生のステージを観たいと思っているのだが、どうなんだろう無理かも。
彼女の存在を知ったのはソロアルバムからの「スタンドバック」がヒットしていた80年代前半。



ソロアルバムとわざわざ書くのは、彼女は70年代からフリートウッド・マックというグループの主要メンバーだったから。
フリートウッド・マックは、1977年にリリースされたアルバム『噂』が、全米アルバムチャートNo.1の座に31週も輝き続ける驚異的な大ベストセラーとなるほどのビッグ・グループ。
だが僕は、スティーヴィー・ニックスのファンという立場から逆行してフリートウッド・マックに触れることになった。
当時フリートウッド・マックには彼女のほかに、リンジー・バッキンガムとクリスティン・マクヴィーという音楽的リーダーがメンバーにいた(グループのリーダーはミック・フリートウッド)。
リンジーとクリスティンの存在は大きく、フリートウッド・マックのよりヴァラエティに富んだ良質なポップ・アルバムとしてのクオリティに彼らふたりの存在は大きく関与している。
今日は、そんなフリートウッド・マックの1975年にリリースされたアルバム『ファンタスティック・マック』をご紹介。


フリートウッド・マック『ファンタスティック・マック』(amazon)

フリートウッド・マックは、ジョン・メイオール&ザ・ブルース・ブレイカーズのメンバーだったピーター・グリーンとミック・フリートウッドを中心に1967年に結成された、イギリスのブルース・ロック・バンド。
しかしその後、メンバーチェンジが繰り返され、音楽的リーダーも何度か変更があったため、音楽スタイルもその都度変わってきた。
1975年の『ファンタスティック・マック』から新しくメンバーに加わったのが、アメリカ人であるスティーヴィー・ニックスとリンジー・バッキンガム。
ここからフリートウッド・マック伝説が始まる。
それまでのスタイルでも、それなりに評価と人気を得ていた彼らであったが、ここから一気に全てがシフトする。

日本でのアルバム・タイトルは『ファンタスティック・マック』となっているが、原題は『Fleetwood Mac』。
アルバム・タイトルに自分たちの名前を持ってくるのは、ファースト・アルバムの場合が多い(ちなみにファースト・アルバムも原題は『Fleetwood Mac』ややこしい…)。
つまりこの作品は、フリートウッド・マックの新しい出発であることを示したかったのである。
それはこれまでと変わったメンバーや音楽スタイルに加え、完成した作品の完成度に対する自信の表れでもあったのではないだろうか。
ただ個人的には、音楽スタイルとしてはブルースロックだったデビュー当初からボブ・ウェルチ主体のポップでやわらかなポップテイストの頃の方が好きである。
だがそれらにはスティーヴィー・ニックスがいないし、リンジーのアクの強さがないのだなぁ。

『ファンタスティック・マック』は、新メンバーとなったリンジーのアタックの強い曲「Monday Morning」から始まる。
新生フリートウッド・マックを高らかに宣言するようである。



クリスティン・マクヴィーはポップな部分を担当する。
リンジーやスティーヴィーと比較すると、その気持ちよいポップ度に心洗われるようである。
「Say You Love Me」が特に好き。



スティーヴィー・ニックスのナンバーでは「Rhiannon」も良いが、僕的には美しい「Landslide」が大好きである。

「Landslide」ライヴ音源


彼ら初の全米No.1に輝いたアルバム『ファンタスティック・マック』。
3人の音楽リーダーが作り上げた、完成度の高い素敵なポップアルバムである。
ここから彼らの快進撃が始まる。
以後アメリカでも絶大なる人気を誇るが、実はイギリスのバンドであることに違和感があるのは、僕がスティーヴィー・ニックスからフリートウッド・マックに入ったからか?

『ファンタスティック・マック』以降はもちろんのこと、それ以前の音楽スタイルの作品もオススメですので、是非一度全キャリアを少しずつでもお試しくだされ。

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