映画『メイキング・オブ・モータウン』

アメリカのブラック・ミュージックを語るうえで欠かせないのが、モータウン。
ベリー・ゴーディが1959年にタムラレコードとして設立し、翌年モータウン・レコード・コーポレーションとなる。
そんなモータウンの歴史を、ベリー・ゴーディのインタビューを中心に描いたドキュメンタリー映画。

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僕はブラック・ミュージックは大好きなので、もちろんモータウンについて多少は知っていたが、創設者のベリー・ゴーディが作曲家であったことは知らなかった。
モータウンの歴史に詳しい人にしてみれば、知ってて当たり前の事かもしれないが。
実際にヒット曲を書く音楽的能力のある人が、それ以上の才能をもって運営したレコード・レーベル、それがモータウン。
優秀なソングライター・チームによる、ポップな楽曲を、適したシンガーたちに歌わせるという戦略。
その方式により、モータウンは大成功を収める。
この時代に音楽業界で、黒人が大成功するなんてのは全くもって画期的なこと。



スモーキー・ロビンソンがベリー・ゴーディの盟友として出てくるが、僕はミラクルズのリード・ヴォーカリストとしか捉えてなかった。
だがそれだけにあらず、モータウンの副社長であったり、いくつものヒット曲を提供した作曲家であったことをこの映画で知った。
偉大なりスモーキー・ロビンソン。
ベリー・ゴーディの偉大さは以前から知っていたが、スモーキー・ロビンソンについての見識は全くもって不十分だった。

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子どもの頃、黒人向けの新聞を黒人たちに売っていたが、白人にも売れればもっと儲かると思って、白人の街に売りに行ったら過去最高に売れたというエピソードが好きだ。
この時の考えの延長線上に、黒人だけでなく白人にも売れる黒人音楽を作り出し、そして売ることに成功する。
商売人としての才能は、かなりのもの。
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ベリー・ゴーディはモータウン設立前にフォードの工場で働いていた。
そこの車の組み立てラインで、様々な工程を経て、最初はただのフレームにすぎなかったものが、最終的には車として完成し新車として出ていくのを見て、それが音楽作りにも適用できると考えた。
”人でもできる”と。

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60年代後半アメリカの社会は変化の季節を迎える。
アーティストの中には、そんな時代の空気を捉えた、より社会的な表現を追求しようとする者もいた。
しかしベリー・ゴーディの戦略は、”商業路線では政治を扱わない”だ。
それでも、そのことに抗ったのが、マーヴィン・ゲイだった。

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マーヴィン・ゲイは、自らのプロデュースで自身が思うような制作を続ける。
ベリー・ゴーディの意思を超えて、アーティストがその才能を駆使して、世界一の製造ラインを逸脱していく。
そしてその音楽を、世間は喝采を持って迎えたのだった。



マーヴィン・ゲイの音楽姿勢に反対していたベリー・ゴーディは、ついに自分の間違いを認める。
この辺の彼の柔軟性も、モータウンの大成功の基にあったのではないだろうか。
信念を貫くのは大切だが、周りの意見に耳を貸すことも当然必要だからだ。

ブラック・ミュージック好きな人には、絶対オススメの映画。
見応えのある、とても素晴らしい、
ワクワク感のある作品!!


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その後モータウンは、1988年に売却され現在はキャピトル・レコード傘下にある。

またスティーヴィー・ワンダーはデビュー以来変わらず、今もモータウンと契約している。




今も仲良しの、ベリー・ゴーディとスモーキー・ロビンソン。

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ブラック・ミュージック・ファンのみならず、全てのポップ・ミュージック・ファンに是非とも!!


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この記事へのコメント

ジャム
2021年04月03日 20:45
私もこの映画観たいです。

私は久しぶりに映画館に行って
「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」を見てきました。
ちゃんと物語を終えた庵野監督に感謝です。
2021年04月03日 22:42
ジャムさん

『メイキング・オブ・モータウン』Netflixで観れるので是非!
Amazonプライム・ビデオにも有料ならあります。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』僕も観ました。
色んな人の考察を聞いていると、見過ごしているところがいくつもあったのでもう一回観たいなと思っています。

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