佐野元春@フェスティバルホール 2016年3月13日
佐野元春60歳の誕生日である3月13日、フェスティバルホールでの”35周年アニバーサリー・ツアー”大阪公演に行ってきた。
今回はそのライヴについて、ちょっと批判も交えつつ書いてみたい。
(東京公演残されてますが、ネタバレありです)

この日の大阪は曇り空、天気予報によると夜は雨ということで、随分くたびれてきた折り畳み傘をバッグに忍ばせて会場へと向かう。
フェスティバルホールは、地下鉄四ツ橋線の肥後橋駅から地下通路で行ける、
はずだったのだが、改札を出てその方向に向かおうとしたらなんと工事中!
ということで通行出来ない模様。
仕方なく一旦地上へ出る。
分かりやすい場所にあるはずなのに、僕は一瞬戸惑う。
どっちだ!?
方向音痴の僕は、素直に諦めて、iPhoneのマップアプリを起動。
なんか少し恥ずかしい気分に襲われる。
しゃあないやん、分かれへんのやから!!
前回のフェスティバルホール公演に続いて今回も2階席。
どうしても2階だと臨場感に欠けてしまうのが残念だけど、仕方ないこればっかりは。
観客の年齢層は当然のように高い。
ライヴ中のMCは、35周年ということで過去から今に繋がるような話が多かったのだけど、その中で元春が「あの頃の会場にはセーラー服の女の子もいた」なんて話をしていたが、今はもちろんそんな人の姿は見られない。
開演予定時間を10分少々過ぎてから客電が落ち、会場は真っ暗闇に。
そして緞帳が上がり「シュガータイム」でステージは始まった。
今回は”35周年アニバーサリー・ツアー”ということでデビューから現在までの曲を網羅したセットリストになるという。
そのため、バンドは最近活動を共にしているコヨーテバンドをベースに、長田進やDr.kyOnなど5人を加えたコヨーテ・グランド・ロッケストラ。
豪華なメンバーが揃った。
しかし僕はこのメンバー構成に不満がある。
コヨーテバンドとともに作った3作目となる最新アルバム『BLOOD MOON』は最高に素晴らしいものだった。
それまでの2作もとても素晴らしかったが、まさかのそれ以上の傑作となったのが『BLODD MOON』である。
なので、コヨーテバンドとして、”BLOOD MOONツアー”をして欲しかったのである。
”2015サマー・ツアー”と題して、コヨーテバンドと小さな会場ばかりを回ったツアーが実質”BLOOD MOONツアー”なのだろうけど、規模が小さすぎるし、そもそも大阪では行われなかった。
そして、その後この”35周年アニバーサリー・ツアー”である。
必要あるのか、こんなツアー!?
”BLOOD MOONツアー”だろう、今必要なのは??
この日のMCで元春は、
「35周年アニバーサリー・ツアーということなので、出来るだけオリジナルに近いアレンジで演奏したい」という趣旨の発言をしていた。
そうなると、編成的にコヨーテバンドだけでは無理になってくる。
なので、コヨーテ・グランド・ロッケストラとなるのは理解できる。
でもそんなオールタイムに過去を振り返るようなライヴを、”BLOOD MOONツアー”を差し置いて行う必要があるのか、繰り返しになるけど、まずは”BLOOD MOONツアー”だろう!!
その後にやればいいんだよアニバーサリー・ツアー。
35周年じゃなくなる?
別に”35+1周年アニバーサリー・ツアー”でもいいじゃない。
僕だけかな~、昔からのファンでこんな風に思ってるのは??
前半元春がキーボードの前に座り歌いだした
「バルセロナの夜」、そして「すべてはうまくいかなくても」。
この日僕が最初にグッときたところがここ。
沁みた。。
「この曲だけは~」と新しいアレンジで演奏された
「君を探している」などを挟み、
「境界線」(この曲のイントロにはワクワクさせられる)から一気にコヨーテバンドと作った曲が連続で演奏される。
今はこっちの路線だろっ!と僕は思いながら身体を揺らせる。
身体が熱くなる。
その後久々に聴いた「レインボー・イン・マイ・ソウル」で少しこみ上げてくるものがあった。
「80年代の曲を~」と言って、
「ヤングブラッズ」
「約束の橋」
「サムデイ」
「ロックンロール・ナイト」
佐野元春クラシック、いや日本のポップ・ミュージックのクラシックとさえ言ってもいいエヴァ―グリーンな名曲の連発。
会場のボルテージが上がる。
2階席が揺れる。
少し怖かった、まさか落ちないよな...?
その後に歌われたのはこれまた80年代の曲
「ニュー・エイジ」。
この曲を聴いて僕はハッとした。
同じ80年代の曲でも、84年のアルバム『ビジターズ』に収録されているこの曲は他の曲とは少し違う。
アルバム『サムデイ』の大成功で日本のポップ・ミュージック・シーンに大きな影響を与えた後の最新オリジナル・アルバムとして84年に発表された『ビジターズ』は、僕たちファンに大きな驚きを与える作品だった。
それまでとは明らかに違う楽曲スタイル、そしてヴォーカル・スタイルだったからだ。
アルバム最後に収められた「ニュー・エイジ」は、
昔のピンナップはみんな
壁からはがして捨ててしまった
昔のピンナップはみんな
壁からはがして捨ててしまった
誰もわかってくれない
誰も気づいてくれない
君と今夜は闇をくぐって
小舟をこぎだしたい
それが人生の意味
と歌われる。
あの時僕たちは、既存のものに
NO!
を突き付け、
古いピンナップをはずし、
調律をやり直し、
新しい歩みを始めようとした
Sweet sweet new age
だった。
「ニュー・エイジ」の後、
永遠のロックンロール「アンジェリーナ」で本編終了。
この曲は時代を超えた日本のロックンロールの名曲なのに、一般的にあまり知られていないことが残念で仕方がない。
ライブは2度目のアンコールでの、「悲しきレイディオ」からのお約束の大団円で終了。
35周年に相応しい素晴らしいライヴだった。
だけど....
一応書いとくけれど、お約束が悪いとは思わない。
お約束の快感は嫌いではない。
でもせっかくコヨーテバンドで佐野元春が今の時代にコミットしようとしていて、いい作品が続いているのに、なんで今のタイミングで35周年アニバーサリー・ツアーなんだろうと思ってしまうのです。
この方が集客しやすいから?
意味あいはとして、それは大きい気がする。
”BLOOD MOONツアー”だと集客が落ちるという判断なんだろう。
1984年、僕たちは昔のピンナップを壁から剥がして捨てたんじゃなかったのか?
そしてその時張り替えたピンナップももう古くなりとても今は使い物になりはしない。
今再び僕たちはピンナップを壁から剥がして捨てる季節を迎えている。
元春にとっての新しいピンナップ、それはきっとコヨーテバンドなのだと思う。
あの頃NEWAGEだった僕らはもうただの使い古しで、そのまま朽ち果てていくのを待つだけなのか!?
そんなことは、ないだろう!!

1984年、僕は戸惑いつつもワクワクとしながらアルバム『VISITORS』を聴いていた。
今回はそのライヴについて、ちょっと批判も交えつつ書いてみたい。
(東京公演残されてますが、ネタバレありです)

この日の大阪は曇り空、天気予報によると夜は雨ということで、随分くたびれてきた折り畳み傘をバッグに忍ばせて会場へと向かう。
フェスティバルホールは、地下鉄四ツ橋線の肥後橋駅から地下通路で行ける、
はずだったのだが、改札を出てその方向に向かおうとしたらなんと工事中!
ということで通行出来ない模様。
仕方なく一旦地上へ出る。
分かりやすい場所にあるはずなのに、僕は一瞬戸惑う。
どっちだ!?
方向音痴の僕は、素直に諦めて、iPhoneのマップアプリを起動。
なんか少し恥ずかしい気分に襲われる。
しゃあないやん、分かれへんのやから!!
前回のフェスティバルホール公演に続いて今回も2階席。
どうしても2階だと臨場感に欠けてしまうのが残念だけど、仕方ないこればっかりは。
観客の年齢層は当然のように高い。
ライヴ中のMCは、35周年ということで過去から今に繋がるような話が多かったのだけど、その中で元春が「あの頃の会場にはセーラー服の女の子もいた」なんて話をしていたが、今はもちろんそんな人の姿は見られない。
開演予定時間を10分少々過ぎてから客電が落ち、会場は真っ暗闇に。
そして緞帳が上がり「シュガータイム」でステージは始まった。
今回は”35周年アニバーサリー・ツアー”ということでデビューから現在までの曲を網羅したセットリストになるという。
そのため、バンドは最近活動を共にしているコヨーテバンドをベースに、長田進やDr.kyOnなど5人を加えたコヨーテ・グランド・ロッケストラ。
豪華なメンバーが揃った。
しかし僕はこのメンバー構成に不満がある。
コヨーテバンドとともに作った3作目となる最新アルバム『BLOOD MOON』は最高に素晴らしいものだった。
それまでの2作もとても素晴らしかったが、まさかのそれ以上の傑作となったのが『BLODD MOON』である。
なので、コヨーテバンドとして、”BLOOD MOONツアー”をして欲しかったのである。
”2015サマー・ツアー”と題して、コヨーテバンドと小さな会場ばかりを回ったツアーが実質”BLOOD MOONツアー”なのだろうけど、規模が小さすぎるし、そもそも大阪では行われなかった。
そして、その後この”35周年アニバーサリー・ツアー”である。
必要あるのか、こんなツアー!?
”BLOOD MOONツアー”だろう、今必要なのは??
![]() | BLOOD MOON(初回生産限定盤)(初回限定ボックス盤)(CD+DVD) 佐野元春&THE COYOTE BAND DaisyMusic 2015-07-21 売り上げランキング : 1078 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
この日のMCで元春は、
「35周年アニバーサリー・ツアーということなので、出来るだけオリジナルに近いアレンジで演奏したい」という趣旨の発言をしていた。
そうなると、編成的にコヨーテバンドだけでは無理になってくる。
なので、コヨーテ・グランド・ロッケストラとなるのは理解できる。
でもそんなオールタイムに過去を振り返るようなライヴを、”BLOOD MOONツアー”を差し置いて行う必要があるのか、繰り返しになるけど、まずは”BLOOD MOONツアー”だろう!!
その後にやればいいんだよアニバーサリー・ツアー。
35周年じゃなくなる?
別に”35+1周年アニバーサリー・ツアー”でもいいじゃない。
僕だけかな~、昔からのファンでこんな風に思ってるのは??
前半元春がキーボードの前に座り歌いだした
「バルセロナの夜」、そして「すべてはうまくいかなくても」。
この日僕が最初にグッときたところがここ。
沁みた。。
「この曲だけは~」と新しいアレンジで演奏された
「君を探している」などを挟み、
「境界線」(この曲のイントロにはワクワクさせられる)から一気にコヨーテバンドと作った曲が連続で演奏される。
今はこっちの路線だろっ!と僕は思いながら身体を揺らせる。
身体が熱くなる。
その後久々に聴いた「レインボー・イン・マイ・ソウル」で少しこみ上げてくるものがあった。
「80年代の曲を~」と言って、
「ヤングブラッズ」
「約束の橋」
「サムデイ」
「ロックンロール・ナイト」
佐野元春クラシック、いや日本のポップ・ミュージックのクラシックとさえ言ってもいいエヴァ―グリーンな名曲の連発。
会場のボルテージが上がる。
2階席が揺れる。
少し怖かった、まさか落ちないよな...?
その後に歌われたのはこれまた80年代の曲
「ニュー・エイジ」。
この曲を聴いて僕はハッとした。
同じ80年代の曲でも、84年のアルバム『ビジターズ』に収録されているこの曲は他の曲とは少し違う。
アルバム『サムデイ』の大成功で日本のポップ・ミュージック・シーンに大きな影響を与えた後の最新オリジナル・アルバムとして84年に発表された『ビジターズ』は、僕たちファンに大きな驚きを与える作品だった。
それまでとは明らかに違う楽曲スタイル、そしてヴォーカル・スタイルだったからだ。
アルバム最後に収められた「ニュー・エイジ」は、
昔のピンナップはみんな
壁からはがして捨ててしまった
昔のピンナップはみんな
壁からはがして捨ててしまった
誰もわかってくれない
誰も気づいてくれない
君と今夜は闇をくぐって
小舟をこぎだしたい
それが人生の意味
と歌われる。
あの時僕たちは、既存のものに
NO!
を突き付け、
古いピンナップをはずし、
調律をやり直し、
新しい歩みを始めようとした
Sweet sweet new age
だった。
「ニュー・エイジ」の後、
永遠のロックンロール「アンジェリーナ」で本編終了。
この曲は時代を超えた日本のロックンロールの名曲なのに、一般的にあまり知られていないことが残念で仕方がない。
ライブは2度目のアンコールでの、「悲しきレイディオ」からのお約束の大団円で終了。
35周年に相応しい素晴らしいライヴだった。
だけど....
一応書いとくけれど、お約束が悪いとは思わない。
お約束の快感は嫌いではない。
でもせっかくコヨーテバンドで佐野元春が今の時代にコミットしようとしていて、いい作品が続いているのに、なんで今のタイミングで35周年アニバーサリー・ツアーなんだろうと思ってしまうのです。
この方が集客しやすいから?
意味あいはとして、それは大きい気がする。
”BLOOD MOONツアー”だと集客が落ちるという判断なんだろう。
1984年、僕たちは昔のピンナップを壁から剥がして捨てたんじゃなかったのか?
そしてその時張り替えたピンナップももう古くなりとても今は使い物になりはしない。
今再び僕たちはピンナップを壁から剥がして捨てる季節を迎えている。
元春にとっての新しいピンナップ、それはきっとコヨーテバンドなのだと思う。
あの頃NEWAGEだった僕らはもうただの使い古しで、そのまま朽ち果てていくのを待つだけなのか!?
そんなことは、ないだろう!!

1984年、僕は戸惑いつつもワクワクとしながらアルバム『VISITORS』を聴いていた。
![]() | VISITORS 佐野元春 ソニー・ミュージックダイレクト 2013-02-19 売り上げランキング : 30451 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
この記事へのコメント
おっしゃりたいこと、よくわかります。35年なんて中途半端なこじつけアニバーサリーよりも、コヨーテ・バンドのアグレッシヴなやつを演るべき時ですよね、今は。
でも、時代と向き合う表現の一方でこういうアニバーサリーとか商売ベースっぽいことも両立できちゃうのが佐野元春のいいところでもあるのかもしれない、とも思ったりもします。
ちょっと違うなぁ…
僕は35周年のお祝いだからといって、今のストーンズみたいな懐メロでは無く、ブラッドムーン含め、コヨーテ達と作った楽曲を固め打ちして来た事に、今を感じたよ。
名盤ちゃんが怒るべきはストーンズであって元春じゃないだろ。と、思った。
あと、大団円、お約束て言うけど、悲しきレディオの前、オーラス前だよ。に、国のための準備を歌ったのには、イナズマに、打たれる位シビれた。
さぁ、ロックンロールだ。
と一言だけ言って。
そのattitudeだけで俺はもう大満足だったよ
どうも、こんにちは。
佐野元春が今も変わらず大好きで、素晴らしいと思っています!
ただ僕はコヨーテバンドとのライヴが観たかったな~
僕は元春に怒ってるわけではなくて、元春に『ブラッドムーン』ツアーではなくアニバーサリーツアーを選択させたお客さんたちに怒っているのですよ。
80年代の曲にはやたら盛り上がり、手拍子しかしないお客さんたちに。
今のストーンズは懐メロか!?
というタイトルで近いうちにブログ書きたいと思います。
よろしく~
サマーツアーがあったのは知ってるし、それが実質の『ブラッド・ムーン』ツアーだったのだろうけど、やっぱりあの規模は納得がいきません。
まぁそんなの一ファンの勝手な想いなので仕方ないのは分かってるのだけれど。
僕がこの記事を書くモチベーションとなったのは、みんなオールタイム・ベストなライヴがそんなに観たいのかな~、という疑問でした。
もっと新しい曲や、めずらしい曲を聴きたいのですよね~
サマーツアー、三重に行っとけばよかったと後悔しています。。